大人のための作詞教室・爽塾「平日コース第1期 #07」
2016.01.13
こんにちは。作詞家の吉里爽( )です。
新宿近辺のカフェにて、大人のための作詞教室・
爽塾 ( )「平日コース 第1期」の7回目のセッションを開催。
まずはリライトしてもらった課題のチェックから。家族サービスに忙しかったSさん、アルバイトに忙しかったAさんとも、1編ずつの提出でした。「男子禁制令」を言い渡されたSさんが吹っ切れたように(?)、なかなかの躍進ぶりでしたね。お二人とも、3月末のターム終了までに1編でも多く仕上げてくだるとうれしいです。
次に、今回の課題の講評へ。お二人が設定したテーマは以下の通り。
・Sさん:「(片思いをしていた相手が亡くなって)かなわなかった恋を悼むラヴソング」
・Aさん:「目上の男性へ向けた、片思いのラヴソング」
Sさんの作品は、導入部分の明快さこそ欠けていましたが、よく練られたサビの表現がすばらしく、進歩の度合いに目を見張るものがありました。
一方、Aさんは「かなりご自身の体験も盛り込んだ」とのことでしたが、想定した歌い手さんとの親和性が今ひとつでしたので、そこを指摘。
いつも思うことですが、歌詞を衣装に例えるなら、歌い手にぴったりの歌詞ををあつらえる作詞家は、TPOに合わせてぴったりのスタイリングを提案するスタイリストの役割に近いものがあります。どんなにすばらしいデザインの衣装でも、サイズが合っていなければ元も子もありません。大事なことは、「その歌詞を歌う歌い手がどれくらい輝けるのか、その歌詞が応援するファンの心に届くか?」ということ。勘違いしがちですが、どんなに作詞家の人生経験を投影したリアリティのある歌詞であっても、歌い手にフィットしたものでなければ何の価値もないのです。これはある程度、歌詞が書けるようになってからの課題ではあるのですが、受講生の方の進歩が思ったより速いため、この点についてもセッションの中で言及している次第です。
そして、同じ課題曲に対して書いた私の作品についても簡単にプレゼンして、どこをどう工夫したのか、苦労した点などをシェア。今回は、想定した歌い手さんに合わせて表現をかなり調整したことを伝え、Aさんの参考になればと思い、あれこれと実例を挙げてみました。
そして、いつものように、次の30分間で、5曲目の課題曲をリピート試聴しつつ、歌詞の企画立案を行ってもらいました。
今回の課題曲は、少しフォルクローレの香りも漂う異国情緒も感じさせるミディアムテンポのポップナンバー。
Sさんは「大人(30歳くらい)になって初めてわかった母親の愛情に対する感謝の気持ち」を、Aさんは「少年の初恋」をテーマに設定。Sさんは、サブ的なテーマとしてヒロインの恋のエピソードも入れたいそうで、がんばりに期待したいところです。
以下、受講生の方に、課題についてのご連絡です。
●内容
本日まとめた企画と、それを元に書いた歌詞1編をセットにして提出してください。
※
過去の課題でリライトした作品も、受講期間中、無制限でチェックしますので、余裕があればご提出ください。
●提出期限
2015年01月23日(土) 23時
最後に、アマチュアの方によく聞かれる「作詞家になるには、どうすればいいのか?」について、本日のアドバイスを。
本文でも少しふれましたが、「歌詞は歌い手のためのもの」ということを肝に銘じると、より第三者の視線で自分が歌詞を客観視できるようになります。書き上げた後にクオリティにこだわってチェックするのはもちろんのこと、「歌い手にどれくらいフィットしているのか?」という視点で校正すると、修正すべき点、課題が見えてくることがよくあるもの。ざっくり言うと、何の制約もなく自分の思いを言葉に託したいだけなら、歌い手の代弁者であるべき作詞家より詩人をめざす方が正しい選択なのかもしれません。