爽塾ブログ

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期12回目、このターム最後のレッスン・レポートをお届けします。

 

1限目の内容は・・・

「課題曲の歌詞の企画をレッスンで固めて」→「歌詞と企画書を提出」→「次回のレッスンで講評を行う」という通常のプロセスとは異なる、スペシャルメニューの課題制作を行なっている某作品の課題を講評しました。 生徒さんが企画した「30代半ばにして『シンガーとしてメジャーデビューしたい』という夢を抱え上京した」という歌詞のストーリーは秀逸ながら、歌詞の世界観や(おそらくロック好きだと推測される)主人公の心情などが生徒さんご本人からかなり距離感があるため、以下のようなスペシャルメニューを組んでみた次第です。

1)歌詞の主人公のリアルな心情を味わってみる

まず、野心家である歌詞の主人公のリアルな心情に寄り添い、共感することを目標に、『夢を追う主人公が自分を励ましつつ愛聴するロックンロール集』というコンセプトで10曲入りのプレイリストを講師の私が作成。生徒さんにはそれを聴いてもらい、「主人公がそれぞれの曲のどこに共感しているのか、彼のお気に入りのフレーズを抜き書きする」という課題に取り組んでもらいました。これについては、前回のレッスンで講評しました。

2)歌詞の主人公になりきり、彼が主催するライヴを企画する

今回取り組んでもらった課題は、「主人公になりきってプレイリストの中から選んだ5曲と、主人公のオリジナル曲という想定でこれから作詞する課題曲をミックスして、合計6曲からなる架空のライヴのセットリストを作成せよ」というもの。「あり得ないほど、ロックンロールな課題で素晴らしい!」と自画自賛しそうになりましたが(笑)、生徒さんが考案したセットリストは、こんな感じでした。

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■ライブタイトル :見果てぬ夢 〜俺達の戦い〜

●セットリスト
01 : 勝利への道 / 浜田省吾さん
02 : 終わりなき疾走 / 浜田省吾さん
03 : Someday / 佐野元春さん
04 : 年甲斐ない 関係ない 限界なんてない / 矢沢永吉さん
05 : 黒く塗りつぶせ / 矢沢永吉さん
06 : 見果てぬ夢 / アーティスト名(生徒さんが歌詞を構想中の楽曲)

※︎ライブのタイトルは「俺達の明日(あした)」または「見果てぬ夢」と迷いましたが、最後に自身の曲を歌って揺るがない決意と想いを観客に伝え、「一緒に夢に向かって頑張っていこう!必ず夢を掴もう!」という強いメッセージで締めくくりたいと思い、ライブのタイトルも曲名と同じものにしました。

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自分の講評は「素晴らしいシークエンス(曲順)で文句のつけようがありません! ゴールまでまだ距離がありますが、完成させられると新しいドアが開くはずです」というもの。そして、このスペシャルメニューの最後に出した課題は、以下のような内容。

3)主人公の視点で東京の街をスケッチ(描写)してみる

彼が暮らすエリア(都内新宿区近辺を想定)から働いているバー(都内千代田区有楽町近辺を想定)にかけての行動範囲で目にする街の風景などをピックアップして企画書に追記せよ。

これについては、次回のレッスンで講評を行います。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、歌詞のレヴュー(講評)を行いました。

前回のレッスンで企画会議を行い、「プロポーズされた36歳の独身女性が、結婚を決意する心境を描きたい」というコンセプトを固めたバラードの歌詞の初稿は、残念ながら未完成。そこで、生徒さんがまとめた企画書の中から、この作品ならではの秀逸なフレーズ、表現をピックアップして、実際の歌詞に活かすようアドバイス。自分がまとめた歌詞の企画、ストーリーを客観的に見直すのは難しいかもしれませんが、企画書の中から「自分ならではのフレーズ、このストーリーならではの独自ポイントを見つけ出して、歌詞に盛り込む」ことが大切。今回で言えば、自分が企画書にマーカーをつけた箇所が該当箇所なので、次回からはそれを自分で見つけ出すようにしましょう!ここは重要なので、生徒さんはメモしてください(笑)。

お楽しみの打ち上げは・・・

そして、本日のメイン・イヴェントは、各タームの最終回のレッスン後にしか実施しない「打ち上げ」。対面のレッスンならばお洒落なカフェにでも移動して楽しく歓談するところですが、オンラインレッスンのため、パソコンの前にお茶菓子を用意して生徒さんとお話ししました。レッスンではなかなかお話しできないことや、生徒さんが田村信二さんと面会できた時のエピソード、音楽業界のあれこれとか、無礼講なお話も少々。短い時間でしたが、貴重なひとときでした!

以下、生徒さんのコメントをご紹介します。

このタームの半年間はもちろんですが、爽塾史上初めて半年以上の継続受講をしてくださった生徒さんの作詞を学び始めてから1年間の真摯な取り組みに、この場を借りて感謝します。4月からの半年でさらなるスキルアップをしながら、未完成の歌詞をベストな形で完成させていきましょう!

 

Power to The Songs!

歌に力を!

 

※以下、3月下旬に映画館で鑑賞した映画の数々、いや一部抜粋です(笑)。クリエイティヴワークにはインプットは欠かせませんが、自分の場合、五感でストーリーを体感できる劇場での映画鑑賞が週末のルーティーンになっています。


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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期11回目のレッスン・レポートをお届けします。

終了まで、残りのレッスンはあと2回! 生徒さんには今回のレッスンでお披露目する課題曲もこのタームではラストの4曲目となり、いよいよ「卒業制作」ということに。

1限目の内容は・・・

本日のメインテーマ、新しい課題曲の歌詞の内容を決めていく「企画会議」に、じっくり取り組みました。新しい課題曲は、憂いをびつつもスケールの大きなバラード。映画の主題歌にもなりそうな素敵なメロディを聴くにつけ、作曲者の田村信二さんのメロディメーカーとしての才能に敬服するばかりです。

そんな曲に対して、生徒さんは「プロポーズされた36歳の独身女性が、結婚を決意する心境を描きたい」とのこと。仕事に打ち込んできた女性が年下の男性と出会い、恋に落ちて、諦めていた結婚という夢を叶える。そんなストーリーの歌が共感を呼ぶには?と考えると、いつにも増して表現のリアリティを追求したいところ。歌詞の背景にあたるストーリーを紡ぐのは得意な生徒さんなので、彼と彼女のやりとりなども歌詞に適宜盛り込みつつ、いつも以上にイキイキした物語を紡ぐようアドバイス。歌詞の仕上がりが楽しみです。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、過去作のレヴュー(講評)へ。

初稿では「Melody」というタイトルで、「恋人を亡くしたシンガーソングライターの女性が再起していく」というテーマでしたが、私のアドバイスもあり、「地方のオーケストラで恋人と知り合った女性が同じオーケストラで知り合った恋人に先立たれながらも、悲しみから立ち直り、明日を模索していく」ようなストーリーに改変。タイトルもシチュエーションの変更を反映して「空と風と君のシンフォニー」と変更されました。

この生徒さんの最近の傾向として、2度目の提出で歌詞のクオリティがグッと上がるのですが、今回もまたそうなったのは良かったと思います。今回から、リライト時の工夫や苦労した点などをメモとして歌詞のファイルに添えてもらったのも、進捗管理の意味で収穫がありました。講評の内容を一部抜粋してご紹介します。

【講評】

・クリスマスソング同様、2度目の提出でクオリティがグンと上がったのは素晴らしいの一言です。50点ぐらいの内容が70点ぐらいにグレードアップした感じでしょうか。

・タイトルの変更と修正後のサビについては、格段に良くなりました。

・元のテーマに添って底上げをするなら、「かつての恋人が天国にいる」ということが明快に分かるような表現がある方が悲しみの淵から主人公が立ち直りつつあるというストーリーの骨子が伝わります。そうしたフレーズをなるべく冒頭に組み込み、それに対するヒロインの心情がさらに真に迫った描写で描けるか、トライしてみましょう。

そして、もう1作レヴューしたのは、生徒さんにとってはおそらく別世界を描くことになる「見果てぬ夢(仮題)」。もっともこちらは、作詞そのものには着手していません。生徒さんが企画した歌詞のストーリーは、「プロのシンガーになる、メジャーデビューする夢を諦めきれずに上京した主人公が東京で再び夢を追う」というもの。歌詞の世界観が生徒さんの実像からかなり遠く、いつも通りのメソッドで歌詞が仕上がらないと判断したため、彼の心情をリアルに感じてもらうため、「主人公が自分を励ますために愛聴しているであろうロックナンバーを集めたプレイリスト」を私が作成してシェアしていました。いきなり作詞に取り掛かるより、まずは主人公の気持ちを理解するのが先決という判断で、いつもの「歌詞の企画立案→作詞」というルーティーンを「歌詞の企画立案→取材的なプロセス→作詞」というスタイルに変更したのです。爽塾のささやかな歴史を振り返ってみても、これは初めてのトライ。裏話をすると、生徒さんがこのターム以降の継続受講をする可能性を見越しての施策でした。「1つの歌詞を仕上げるのに数ヶ月かかろうと、良作が書ければOK」というスタンスです。

そのプレイリストで主人公の気持ちを存分に味わってもらい、今回出した課題は、「それぞれの曲の歌詞の中で主人公が共感している、お気に入りのフレーズを抜き書きしてください」というもの。結果は最初からほぼ分かっていて、全問正解。生徒さんの心の中にいる主人公がどんな気持ちでお気に入りのロックンロールを聴いているのか? 歌詞のどのフレーズに共感しながら、時にくじけそうになる自分の心を励ましているのか? それは、作者たる生徒さんが「きっとこうだろう」と思ったことが正解なのです。以下、生徒さんのコメントです。

次のステップとして、「プレイリストの5曲と課題曲1曲、合計6曲の構成で、主人公が企画&開催する架空のライヴのセットリストを作成せよ」という、かなりロックンロールな課題を出しました(笑)。海外旅行で見知らぬ土地を訪ねて、ガイドブックにはない魅力に遭遇するかのように、今回のスペシャル・メニューを通じて、生徒さんが「ロックンロール」という未知なるドアを開けてくれたら、かつての自分からは想像もつかない歌詞が生まれるはず。こうして歌詞の完成に向けてさまざまな試行錯誤を重ねていますが、課題曲自体は譜割が時に難しい激しいロックナンバーではないので、主人公の心情に寄り添えれば必ず完成させられるはずと信じています。

そんなこんなで、今宵のレッスンも無事に終了。

このターム最後のレッスンとなる次回は、レッスン後に打ち上げをする予定なので、それも楽しみです。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

※ロックンロールの歌詞に時に欠かせないのが、リアルなストリート感覚。東京がもし夢を追うためのリングなら、彼の目に写るものは何なのか、気になりますね。写真は、都心ではなく、西武所沢駅側のプロぺ通り。

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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期10回目のレッスン・レポートをお届けします。

1限目の内容は・・・

今回のレッスンは、作品のレヴュー(講評)がメインテーマ。「最新の課題曲に書かれた歌詞を優先する」というセオリーに逆らって、完成間近のクリスマスソングのレヴューから行いました。しかも、果敢にも「修正箇所を指摘して、レッスンのその場で歌詞を仕上げてもらう」という爽塾史上初の試みにトライ! なぜ、こんなことをしたのかと言えば、このタームの終了まであと3回という追い込みの時期なので、少しでも新作の歌詞の制作に時間を割いて欲しく、このスタイルにトライした次第です。「次回までに、ここを直してください」というやり取りができるのもあと数回ですから、「先を急ごうぜ!」という決断でした。トライの結果、該当箇所の問題点をロジカルに指摘すると、生徒さんがこちらが思う正解をすぐにレスポンスしてくれたので、ついにクリスマスソングは完成! 別記事にアップしているとおり、完成版は現時点での最高傑作になったかと思います。以下、生徒さんのコメントです。

まずは、歌詞が完成して良かったですね。苦労も味わったとは思いますが、作詞の楽しみが存分に味わえたのではないでしょうか。これを励みに、粛々と前進していきましょう。大切なことは、「1つの作品が完成するまでに得られた経験や学びを他の作品の制作に生かしていく」ことです。さらに噛み砕いて言うと、「どこをどう直されたのかをきちんと把握して、出来る限り、その修正のプロセスを独力で実行できるように努めていくことです。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、難敵と戦う2限目に突入。

生徒さんが7曲目の課題曲に対して企画したストーリーはなかなか秀逸で、夢を諦めきれずにあがく主人公の生き方は男性の自分から見ても大いに共感できるものでした。以下、企画書より一部抜粋してご紹介します。

「主人公は31歳。地元で一度就職し2年ぐらい働いたが、やっぱり歌がいい、一度きりの人生、自分の大切なもので生きようと思い25歳の時に上京した。恋人はおらず、自分が夢を叶えるまでは脇目も振らず、夢だけを追うつもり。現在はライブハウスで30〜50人程度の集客があり、応援してくれているも熱心なファンもいる。オーディションでは最終選考にパスしないという経験をたくさんしていて、メジャーデビューのチャンスが掴めていない。灯りが見えない焦りと辛さのなかでもがいているのが現況。上京後はずっと、バーテンダーの仕事を続けてきた。かつては凱旋して地元の友達に成功した姿を見せたいと思っていたが、東京で音楽仲間と出会って気持ちが変わった。 自分が頑張ることで応援する人たちを笑顔にしたい。ファンの人たちがもっと喜んでくれるような、そんな夢の叶え方をしたいと思うようになった」

これだけ濃厚なストーリーがありながら、作詞が難航しているのはなぜなのか? 少々お話してみてたどり着いた結論は、「さまざまな葛藤を抱えながら夢を追う主人公の忸怩たる心情をリアルに感じられていないからなのではないか?」ということ。とは言え、何も恥じることはありません。生まれて初めて聴いた課題曲から受けた印象からインスピレーションを得て、たかだか30分ぐらいで前述したような濃厚なストーリーをまとめられる人がどれだけいるでしょうか? 

もっとも、爽塾では、新作の歌詞を作る度に、この企画立案のステップをしっかりやっていくので、回を重ねるごとに誰しも習熟していきます。「面白そう!」と思った方は、お気軽に爽塾の門を叩いてみてくださいね。

閑話休題。

話をレッスンに戻すと、リファレンスとして、歌詞の主人公が好んで聴いていそうなロックナンバーを2曲続けて聴いてもらいました。課題曲そのものはロックナンバーではありませんが、彼のようにガッツを燃やして生きる男性の決してきれいごとではない、リアルな心の叫びを味わって欲しかったのです。

レッスン後には「自分を励ますために、彼が聴いているお気に入りのロックナンバーたち」というコンセプトで、プレイリスト を作成、生徒さんにシェアしました。架空の人物であるストーリーの主人公に取材することはできなくても、彼が拳を握りしめて聴いているであろう楽曲たちに触れることで、彼の本音に迫れると思ったからです。さらに、「作詞するのはいったんやめて、彼が気に入りそうな歌詞のフレーズを曲ごとに抜き書きしてみて」という課題を出しました。これまでは未知のジャンルだったロック、ロックンロールの世界に少しずつ触れつつ、生徒さんには新しいドアを開けてもらえればと思っています。作詞を始めて1年未満なら、まだまだビギナー。焦ることは一切ありません。仕事でなく趣味でやる作詞ならではの「〆切なし」の開放感を楽しみつつ、いつの日か、この作品を完成させてもらえれば幸いです。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

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※絶賛公開中のリトル・リチャードのドキュメンタリー「I Am Everything」を上映中のシネマート新宿のディスプレイ。kotonohaさんが構想中の歌詞の主人公が実在していたら、必ずチェックしているはず。なぜなら、偉大なるロックンロール・ジャイアンツの1人、リトル・リチャードは、このジャンルの源流で輝き続けるシャイニング・スターですから。

レッスンの中から生まれた受講生の作品をご紹介します。

リライトの末に完成した歌詞と、最初に書いた初稿を併せて掲載します。

 

my winter gift(完成版)

 

作詞:kotonoha

作曲:田村信二

 

1A)

 せわしなく過ぎる クリスマスの日  

 店先のポインセチア 片付けて帰ろう  

 君は今ごろもう 飛行機のなかだよね  

 大好きな笑顔 思い浮かべ  

 

1B)

 はじめて過ごす 聖なる夜(よる)を  

 ずっと待ち焦がれていた I love you 

 

 

1C)

 遠くから 手を振る君  

 名前を呼ぶ声が 愛しく響くよ  

 思いきり 抱きしめたぬくもりは  

 一番に欲しかった わたしだけの winter gift  

 

D)

 会えない夜(よる)も まぶしい朝も 

 いつもそばにいるから  

 ずっと大切にしたい oh  

 

2C)

 差し出した 大きな手に  

 きらりと輝いた 花のイヤリング  

 不器用な君からの おくりもの  

 この世界(せかい)にひとつだけ 最高のwinter gift 

 

E)

 「遠い場所から この日のために  

 いそがしいのに ほんとにありがとう」 

 選んでくれた 小さな花が  

 耳元で ほら 輝いて        

 

ホワイトクリスマス(初稿)

 

作詞:kotonoha                                   

作曲:田村信二

 

1A)

 街に輝いた イルミネーション  

 大急ぎ 今ごろは 飛行機のなかだね

 ひとりきり 君を待つ空港のロビー 

 大好きな笑顔 思い出して 

 

1B)  

 聖なる夜(よる)が 終わりを告げる  

 ずっとこの日を待ってた  

            

1C)

 降りつもる 白い雪は 

 ふたりで初めての ホワイトクリスマス 

 ひさしぶり 抱きしめたぬくもりは 

 一番に欲しかった 冬のプレゼント 

 

D)     

 会えない夜(よる)も さみしい夜(よる)も  

 遠い空の下(した)でも  

 ずっと大切にしたい

           

2C)

 降りつもる 白い雪は  

 ふたりの幸せな ホワイトクリスマス  

 手を伸ばし 触れられるぬくもりは 

 一番に願ってた 冬のプレゼント  

 

E)

 「遠い場所から この日のために  

 いそがしいのに ほんとにありがとう」  

 選んでくれた 小さな花の  

 首飾り ほら 輝いて  

 

 

完成までのプロセス

 

この作品は2度目の提出でかなりレヴェルアップしたのですが、こちらの力不足もあり、思わぬ難産に。5回目の提出時に至らなかった部分をレッスンの最中に修正、完成の○を付けました。

テーマの設定もなかなか難しい「クリスマスソング」というお題に対して、「北海道在住のお花屋さん勤務の女性と東京のテレビ局勤務の彼氏との遠距離恋愛。2人にとって最初のクリスマスに、彼が選んだ心尽くしのギフトに彼女が心を震わせて・・・」というピュアなラヴストーリーを描き切り、kotonohaさんの現時点での最高傑作の誕生となりました。完成、おめでとうございます!

 

 

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期9回目のレッスン・レポートをお届けします。早いもので、このタームもこの日のレッスンを入れてあと4回。取り組む課題も、残すところ、あと2つのみ。受講中の生徒さんには、1作でも多く、卒業までに課題を完成させて欲しいと願うばかりです。

1限目の内容は・・・

さて、今回のレッスンは新しい課題曲の歌詞の内容を決めていく「企画会議」がメインテーマ。昨年の前期から継続受講している生徒さんにとって、新しい課題曲は通算7曲目になります。今回新しく聴いてもらった課題曲の曲調は、少々の寂しさもたたえた、マイナーキーのミディアムテンポのナンバー。メロディの素晴らしさは言わずもがなです。「受講期間中は当たり前のように接している田村信二さん作曲の課題曲のクオリティの素晴らしさは、卒業後に実感することになります」と受講生の皆さんにはいつも同じことを言いますが、今回もまた、「今にもヒットしそうな」完成度です。

そんなメロディに触発されるように生徒さんが考案したテーマは、いつもとは趣の異なる「歌の道を志して社会人になってから地元から上京し、バーテンの仕事をしながら夢を追う30代男性の物語」という内容。これまでは、比較的ご自分の実像に近いピュアな感じの女性目線のラヴストーリーを描いてきた生徒さんなので、このテーマで歌詞を完成させられれば「新しいドア」が開けられますね。こちらから指定せずとも、「男性目線の歌詞を描こう」と思い立ったのは、さらなるスキルアップには絶好の機会です。なぜなら、作詞の楽しさ、醍醐味のひとつは、「年齢や性別を超えて、主人公の心情を描くこと」ですから。自分の作品で言えば、当時55歳の矢沢永吉さんに書いたロックンロールナンバーの「年甲斐ない関係ない限界なんてない」と10代の少女が恋のときめきを歌うwhiteeeen の「ゼロ恋 」では言葉遣いも雰囲気もメッセージの内容もまったく違いますが、書いたのはいずれも私、同一人物です(笑)。


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そして、歌詞の企画、構想を生徒さんに発表してもらうと、男性目線の歌詞のせいか、いつもに比べると歌詞の背景にあたるストーリーが若干ファジーな印象。そこで、あれこれと話し合いながら、ストーリーのディテールを一緒に構築していきました。講師というより、プロデューサー目線で「歌詞の主人公に以下のような背景があると、リアリティが向上するのでは?」という提案をした感じです。

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・主人公は歌手になる夢を捨てきれずに上京する前、一度は夢をあきらめ、定職に就いた時期があった

・課題曲のような曲調の歌を歌っていると仮定すると、志向する音楽のジャンルは演歌や歌謡曲ではなくポップス系

・上京してから年月も経っているのでライヴの集客もあり、そこそこのファンも付いている。ただし、惜しいところでオーディションに落選してしまうような状況で、「メジャーデビュー一歩手前」というステージではなく、夢の実現まではまだ距離がありそう

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これまで書いてきた女性目線の歌詞には登場しなかった「なかなか夢が実現しないことへの苛立ち、夢をあきらめない強い気持ち」といった野心家の男性ならではの心情も歌詞のフレーズに落とし込めると良いですね。大切なことは、主人公のキャラクターに合わせたトンマナを徹底したうえで、(曲調はロックではないですが)彼の忸怩たる思いをメロディに合わせて叫ばせることなのかなと思います。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、過去作のレヴュー(講評)を行いました。

まずは、完成間近のクリスマスソングから。既に骨格の部分はできあがっているため、表現のディテールの底上げを促すためのディレクションを行っていきました。例えば、リピートされる同じフレーズに対して書かれた「会えない夜(よる)も さみしい夜(よる)も」という歌詞ですが、この箇所には、「同じようなメロディがリフレインされる際には、表現のバラエティを 熟考するとベター。ここでは『さみしい夜』の箇所は『会えない夜』と対になるような表現を考えてみて」とアドバイス。

その他、ちょっとした言い回しを再考した方がベターだと思われる箇所に対しては、実際に代案となるフレーズを歌ってみせて修正を提案し、「頭で考えた歌詞がうまくメロディにハマらない時も、早々に諦めず、納得できる最適解を見つけるためには可能な限り、試行錯誤を繰り返しましょう」ということを伝えました。

続いて、別作品のレヴューへ。「恋人との死別から時間を経て、シンガーソングライターの女性が立ち直っていく」作品については、こちらの提案を踏まえた修正後の企画書のみをレヴュー。こちらの提案を踏まえて、ヒロインと恋人の双方がシンガーソングライターという設定は変更され、リアリティが向上しました。「主人公にとって大切な思い出、楽しかった思い出を必ず盛り込みましょう。あの時、あんなことがあったよね。本当に楽しかった。思い出すと、今でもクスッとほほえみたくなる・・・みたいなイメージです」とコメントを添えてフィードバックしました。生徒さんに改めて伝えたのは、「たとえ誰かを励ませなくても、世界でたった一つのストーリーを田村信二さんの美しいメロディに乗せて描ければそれだけでも充分に尊い」ということです。さらにアドバイスをすると、テキストに記載しているとおり、世界でたった一つのストーリーにふさわしいタイトルになればベターです。

以下、生徒さんのコメントです。

そんなこんなで、今宵のレッスンも無事に終了。

常に最新の課題が優先になるため、未完成の歌詞が溜まりがちですが、ここはラストスパートをするタイミングかも? 社会人の生徒さんはお仕事との兼ね合いもあるかもしれませんが、できる範囲でペースアップにトライしてみてくださいね。

「異性の目線で作詞をする」という新しいドアを開ける楽しみは、一度きりしか味わえません。ぜひ、全力で楽しんでください!

Power to The Songs!

歌に力を!

 

写真下)毎年、バレンタインデーを過ぎてから消灯するハート型ディスプレイと、その奥に輝くクリスマスツリー。西武所沢駅西口にて撮影。
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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期8回目のレッスン・レポートをお届けします。

1限目の内容は・・・

今回は、課題のレヴュー(講評)がメインテーマ。まずは、前回、2度目の提出にして予想以上の高得点を叩き出し、ゴールが見えてきたクリスマスソングからレヴューを行いました。結果は、もう一息でゴールイン、完成はならず、というところでした。とは言え、「あぁ、完成しなかった」とがっかりすることはありません。歌詞はちゃんと成長していますから。以下、レヴューしたポイントです。
・ブリッジの最後の行のラストに関しては、歌詞の最後の1文字「い」をそのまま伸ばすのは、語感的に今ひとつなので、サンプル歌詞を参考に再考を。
・2番のサビのラストについては、プレゼントを手にした時のヒロインの感情をメロディにうまくフィットさせつつ、1番の同じ箇所とのコントラストを描いてみましょう。

ということで、クリスマスソングの歌詞の完成は、次回以降に持ち越しに。続いて、新たな課題曲に取り組んだ新作の歌詞のレヴューへ。

そもそも、生徒さんが「辛い思いをした方、現在している方、頑張る方への応援歌。 辛い思いをしながらも頑張って生きてきた方への応援歌」というテーマを設定したのは、歌詞の企画にあたって「(男女が出会って恋に落ちてという設定の)普通のラブソングではなく、メッセージソングを作りましょう」というお題を指定したからなのですが、「メッセージソング」という直接的な表現がよろしくなかったかも?と少々反省しました。そう言うよりは、「普通のラブソング以外の要素が含まれていればOK」というくらいの緩い感じの方がベターだったのかもとも思いました。と言うのは、生徒さんが描こうとしている「恋人に先立たれた女性が立ち直っていく」ストーリーを前述の「応援歌」的なテーマに結び付けるのは少々無理があると感じたからです。

両親に先立たれることは多くの人が経験することですが、先立つ人が恋人ならば話はまた別。ヒロインがシンガーソングライターであればなおさら、亡くした恋人との思い出や彼への思いを自作の歌に込めていたはず。大きな喪失感の中で、彼との思い出が詰まった歌を歌い続けるのは難しくて当然です。いや、歌えなくなって当然です。リアリティのあるストーリーを企画することにおいては「爽塾」のささやかな歴史を振り返っても屈指の実力がある生徒さんなので、「元の企画書にあった『ピアニスト』という職業に設定を変えてみては?」という提案をしました。そうすることで歌詞の背景にあるストーリーのディテールに齟齬がなくなり、リアリティの向上に繋がるのでは?という思いがあったからです。さらに言うと、ヒロインが悲しみから再起するストーリーとは言え、リライトする期間も含め、この作品に長期間携わる生徒さんのメンタルのことも配慮しました。「聴いてくださる方を励まそう」と思って書き始めた歌詞に取り組むのが苦行になっては元も子もないですから。


2限目の内容は・・・  

休憩を挟んだ2限目でも、引き続き、この歌詞のクオリティアップのためのあれこれをお話していきました。まずは、ほぼ同じような体験をした女性シンガーの方のインタビュー記事を紹介して、その女性が失意から立ち直って再び歌い始めたプロセスなどについても言及。さらに、シチュエーションに多少の違いはあれど、大切な人に先立たれた後に残された主人公を描いた自作の歌詞を2篇紹介し、曲も併せて聴いてもらいました。ビギナーの方が取り組むには少々ハードなテーマですから、少しでもヒントになればと思い、さまざまなリファレンスを提示した次第です。

レッスン後にフィードバックした歌詞のファイルには、以下のコメントを添えました。

「ヒロインと同じくらいの悲しみを味わった人を励ましたいというのは目標としては素晴らしいのですが、人の悲しみのディテールも深さも十人十色です。とてもデリケートなテーマなので、まずはリアリティの向上を念頭に置き、ストーリーのディテールを再考すると共に、ヒロインの現況と心境を描き切ることを念頭に置きましょう」

爽塾のレッスンでは、基本的に受講生が書きたいテーマで自由に歌詞を創作していきます。今回のように多少の方向性を指定する場合も同様で、歌詞を評価する際も、まずは「書こうとしたテーマに添った内容になっているか?」というポイントでチェックしていきます。新しい課題は受講中の生徒さんにとっては初トライになる尊いテーマでの作詞ですから、このタームが終了する3月末までにぜひとも完成させて欲しいところです。

さて、次回のレッスンは、このターム3曲目の新しい課題曲を聴いて企画を練る回。このタームでは、少しでもモチヴェーションが上がるよう、生徒さんの成長具合に合わせて、その都度、課題曲を選ぶようにしているので、これからじっくり悩んで選曲したいと思います。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期7回目のレッスン・レポートをお届けします。

クリスマスの夜にレッスンを行なってから、暦の関係で少し長い冬休みとなりました。前回のレッスンで「表現のストックを増やすには名作に触れるのが一番ですから、年末年始に聴いてくださいね」と、洋邦問わず、いくつかの名盤をご案内したのですが、少しぐらいは聴いてもらえたでしょうか?

1限目の内容は・・・

さて、今回は新しい課題曲と向き合い、どんな歌詞を書くのかを決める「企画会議」がメインテーマ。このターム2曲目の課題曲は、シックで美しいミディアムテンポのメロディを女性ヴォーカリストが♪ラララ〜と歌ったトラックに仕上がっています。課題曲をリピート再生してもらい、企画の骨子をまとめてもらう「独りブレスト・タイム」の前に、今回は「男女のラブソングではなく、可能ならばメッセージソングで」と緩めのテーマを指定しました。今の受講生の方は前のタームからの継続受講ということもあり、時と場合に応じて、このように緩い感じのテーマを指定することもあります。

30分ほどの「独りブレスト・タイム」の後、生徒さんから提案されたテーマは、「つらい思いをしても前を向いて生きる人への応援ソング」というもの。主人公の境遇、立ち位置などを掘り下げていくと、「大切な人に先立たれた40代の女性。職業は歌手かピアニスト。時間をかけてゆっくりと、悲しみから立ち直りつつある最中」とのことでした。悲しい出来事があっても人前で明るい曲を演奏するような仕事に就いているなら、ヒロインの人生はなかなかハードだなと思い、自分が構想しているあるストーリーを思い切ってシェアしました。そのストーリーでは、人生で最大級の悲しみに直面したヒロインがゆっくりゆっくり立ち直っていくさまを描いていきますが、あまりに大きな悲しみに直面した場合、「立ち直る」と言っても容易なことではありません。伝えたかったのは、ヒロインを描く生徒さんにも、メッセージを発するヒロインにも、慎重に言葉を選ぶ繊細さが必要だということ。

制作にあたり、生徒さんは以下のような思いをポストしてくれました。力作の誕生を待ちたいと思います。


2限目の内容は・・・  

2度目の提出となったクリスマスソングの歌詞の再レヴュー(講評)を行いました。

クリスマスソングならではのハードルの高さもあって、前回の初稿はいつもの初稿と比べると今ひとつの出来でした。修正のためのアドバイスはいつも通り行なったものの、完成させるのは一苦労するだろうなと思いきや、さにあらず。今回提出された「Ver.02」は初稿と比べて格段の進歩を遂げていました。心血を注いで教えているこちらとしても本当にうれしかったですね。元来、半年でいったん完結する爽塾のレッスンではありますが、半年のタームを修了しても継続受講されている今の生徒さんのモチベーションは相当なもの。2期目のクールのちょうど折り返し地点で、明確な実力の伸びが感じられたのは大きな収穫でした。レッスン後にフィードバックしたファイルには、こんなコメントを寄せました。「初稿の出来から比べて、一気に完成度がジャンプアップしてうれしい限りです。お花屋さん勤務の彼女のために、彼氏が精一杯の心遣いでお花のイアリングを選んだストーリーがきちんと描写できています。現状は75点ぐらいの完成度なので、あともう一息です!」。爽塾では、歌詞の完成度が80%ぐらいのところでいったん完成と見なしていますが、生徒さんにはこのクリスマスソングでぜひ自身の最高傑作をめざして欲しいところです。

次回のレッスンは、レヴューをみっちり行う回。メッセージソングの初稿はどんなテイストなのか、果たしてクリスマスソングは完成するのか、ワクワクしますね。

課題の提出を楽しみに待ちたいと思います!

Power to The Songs!

歌に力を!

 

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※某魔法学校の最寄駅プラットフォームにて。停車中の車両にもキュートな魔法使いたちの顔が刻印されています。

 

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。生徒さんの声も交えながら、2023年後期6回目のレッスン・レポートをお届けします。

奇しくもレッスンの開催日がクリスマス当日になったため、レッスンの開始時間を定刻より早めました。あえて写真は載せませんが、少しでも楽しい雰囲気になればと思い、今回はクリスマスにふさわしい衣装(?)を着て、レッスンに臨みました。これはオンライン・レッスンならではのメリットかも。もし、対面のレッスンを行なっていれば、「着替え用の衣装を持ち運ぶのは大変!」と思って当然ですから。

 

1限目の内容は・・・

まずは、幾度もリライトを重ね、遂に8回目の提出となった作品「SWEET LITLE CHERRY」は完成まであとわずかのところまで来ています。前回ダメ出しをした箇所はレッスンのその場で正解を明かしたい気持ちをグッと抑えてリライトをしてもらったので、今回提出される歌詞で完成するのかどうか、講師の自分もドキドキでした(笑)。正直言いますと、今回の提出で該当箇所が思わぬ方向に修正されていたら、正しい方向に導けなかった自分の至らなさをお詫びしつつ正解を明かし、この作品のリライトについては打ち止めにする覚悟をしていたのです。けれど、生徒さんが見事にストライクを投げてくれて、歌詞は無事に完成しました。完成版の歌詞「SWEET LITTLE CHERRY」はこちらでご確認ください。クリスマスの夜に、生徒さんがリライトにリライトを重ねて仕上げた歌詞に「⭕️」が付けられたのはつくづく良かったなとしみじみ。どこをどう直したのか修正のプロセスが後から見て分かるようように、「歌詞を修正するごとに修正箇所には違う色を付ける」というルールがあるため、7度のリライトを重ねたワード・ファイルは色とりどりの虹色に輝いています。まるで、生徒さんの尊い努力を音楽の神様が照らしているかのようです。毎度同じことを言いますが、この作品のリライトで学んだこと、得たことを他の作品の創作時、もちろんリライトの際にも活かしてくださいね。そうすることで、上達のスピードがアップします。

 

2限目の内容は・・・

続いて、前回のレッスンで企画をあたためたクリスマスソングのレビュー(講評)を行いました。爽塾始まって以来初となる「クリスマスシーズンにクリスマスソングを作ってみよう」企画だったのですが、生徒さんの作品をチェックしたうえで自分の反省点を挙げるとするなら、「クリスマスソングを作る際、外せないポイント」をもっと明確にして、企画に落とし込むべきだったかなと思います。JPOPにおけるクリスマスソングには、「イエスキリストの生誕を祝う」という宗教的な要素は不要ですが、クリスマスソングを作詞するにあたっては以下のようなポイントを抑えるとベターです。

1)歌詞で描写できる季節、楽曲が聴かれる期間がクリスマスシーズンに限られるため、できるだけオリジナリティのある表現で季節感の描写を適宜盛り込む

2)伝えたいメッセージをシンプルかつピュアな表現に落とし込む
 ※登場人物、特に主人公がクリスマスにしたいことは何なのかを明瞭に描写しましょう。「好きな人に告白したい」「プロポーズしたい」「家族に感謝したい」など、どんなテーマであれ、この季節ならではの表現に落とし込めたると良いですね。

3)クリスマスソングのスタンダードナンバーの曲名、フレーズなどを引用した場合は、原曲に込められたメッセージもきちんと理解したうえで自作の歌詞に活かす
 ※なぜ、それが必要なのかと言えば、スタンダードナンバーの歌詞やメロディは既に知られていて、あなたが書く新作のクリスマスソングは誰も知らないからです。

こうした配慮が必要なので、ビギナーの方がトライするには少々ハードルが高く、難しかったかもしれないですね。

以下、生徒さんの苦労がしのばれるコメントを引用しますが、今回は「がんばって初稿を仕上げましたね」と労う他ありません。

ということで、地道なリライトを重ねて歌詞が成長していくことを期待したいと思います。ちなみに、洋楽テイストの課題曲の完成度の高さを考えれば、「クリスマス」という単語は英語の「Christmas」というワード同様、2音に乗せた方がベターかと思います。

レビューの後には、クリスマスならではのスペシャルなギフトとして、田村信二さん作曲の課題曲に私自身が歌詞をつけ、田村さんご自身のディレクションによりレコーディングされたデモを生徒さんに聴いてもらいました。この作品はまだ世に出ていない作品なので、生徒さんが目を輝かせて聴いてくださったのは嬉しい限りです。

時間が余ったので、クリスマスソングの中でも新しめの曲をJPOPのカテゴリーからセレクトしてご紹介。どの曲も、↑に挙げたポイントは余裕でクリアしているはずなので、そんな視点で味わってみてくださいね。

こんな内容でクリスマスに開催されたレッスンは無事に終了。次回は、このクール2曲目の課題曲を聴いて企画を練るレッスンとなります。リライト作品の提出も楽しみに待ちたいと思います。


Power to The Songs !

歌に力を! 

 

※所沢駅西口前のクリスマスツリー。11月から約3ヶ月間、ライトアップが続くため、1年のうちの1/4はクリスマス気分で暮らせるのがこの街の魅力です(笑)。

SWEET LITTLE CHERRY

※原題:FrenchKiss

 

作詞:kotonoha                                  

作曲:田村信二

 

1A)

 きらめく夏色の海で まぶしい恋と出逢ったの  

 はじめて会うのに どこか心地よくて  

 気がつけば ほら好きになってた  

 

1B)

 明るい笑顔と 洗いたてのTシャツ  

 私だけの さわやかな太陽  

 

1C)

 わたしの気持ちは キュートなSWEET LITTLE CHERRY  

 どうしよう ドキドキが止められないんだ  

 信じてもいいの? ゆれる恋心  

 ねぇ この気持ち気づいてね  

 

 

2A)

 週末 海沿いのカフェで 分け合うひとつのフルーツケーキ  

 「早く会いたい」って いつも言われるけど  

 その声に また胸がときめく  

 

2B)

 「ふたり一緒なら毎日が楽しいね」  

 その言葉に 想いこぼれそうよ  

 

2C)

 ほんのり色づいた るいSWEET LITTLE CHERRY  

 信じよう 幸せなハッピーエンドを  

 甘いときめきに ふたり包まれる  

 ねぇ その胸に抱きしめて  

 

 

3C)

 今が食べごろね おいしいSWEET LITTLE CHERRY  

 約束よ この先も一緒にいようね  

 心地よい風に ふたり包まれて  

 ねぇ 幸せを始めよう 

 

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今回は、8回目の提出にして遂に完成した生徒さんの力作を公開します。

クリスマス当日に「○」をプレゼントできたのがうれしかったです。

7度のリライト、お疲れさまでした!

 

 

 

私こと吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声を交えつつ、2023年後期、5回目のレッスン・レポートをお届けします。

数回続いた座学のカリキュラムを終え、いよいよ、今回から実際の作詞に取り組んでいくことになります。

ここから先、このタームの最終回まで「30分間、課題曲を繰り返し聴いて、講師と相談のうえ、どんな歌詞を書くのかをプランニング」することをメインに行うレッスンと、リライトした歌詞も含めて「歌詞のレビュー(講評)を受ける」ことをメインにしたレッスンを交互に行っていきます。

1限目の内容は・・・

以前から密かにやりたかったことを実現してみました。それは、「クリスマスシーズンに、クリスマスソングの歌詞を書いてもらうこと」。商品としてリリースされる楽曲の多くは、当然のように前倒しで制作されます。例えば、クリスマスソングであれば、夏頃に作っていたり、場合によってはもっと前に作っていることもあります。ですが、爽塾で行う作詞は仕事ではなく、あくまでも楽しくスキルアップしていくためのレッスン、お稽古ごとですから、クリスマス・シーズンの真っ只中にクリスマス・ソングを書いてもらうことがイマジネーションがふくらむ一助になればと考えたのです。

ということで、まずは切なさもたたえた田村信二さんの美しいメロディを繰り返し聴いてもらい、どんなクリスマス・ソングの歌詞を書くのか、構想を発表してもらいました。さらに、歌詞を書き進めるうちにストーリーに齟齬が生じないよう、ストーリーやディテールを話し合いながら詰めていきます。

結果、まとまったのは、こんなストーリーでした。

締切は、12月22日の金曜日。次回のレッスンは12月25日のクリスマス当日。クリスマス・プレゼントと呼ぶにはささやかですが、自分が作詞した歌詞で田村信二さんのディレクションでレコーディングした『完成品』をレッスンで公開するつもりです。これまた、爽塾史上初ですが、生徒さんはお楽しみに!

2限目の内容は・・・

リライトを重ねてきた作品「SWEET LITLE CHERRY」と、教材のCDに収録された吉里颯洋主宰の「 Songs On the Web 」レーベルの楽曲「」替え歌制作の課題として取り組んでいる作品の2つの歌詞の講評を行いました。

まず、いよいよ完成間近の「SWEET LITLE CHERRY」のレビューから。
幾度かのリライトを重ねてたどり着いた、サビの1行目はこんなフレーズでした。

♪夏にぴったりの キュートなSWEET LITTLE CERRY

ここだけを見れば充分に魅力的なのですが、Aパート、Bパートの歌詞の連なりから見た時に唐突な感じがありました。そこで提案したのは、冒頭の「夏にぴったりの」部分をリライトすること。一言で言えば、「SWEET LITTLE CHERRY」が何のメタファーなのかをズバッと言い切る方がベターですね。

ちなみに、2番の同じ箇所は
♪赤く色づいた まあるいSWEET LITTLE CHERRY
というフレーズですが、2番のAパートの1行目
♪週末 海沿いのカフェで 分け合うひとつのフルーツケーキ
と対になっているので、スッと頭に入ってきます。

今回のリライトで底上げできた箇所もきちんと記しておきますね。
自分が誉めたのは、3番のサビの後半の以下のフレーズです。

♪心地よい風に ふたり包まれて 
 ねぇ 幸せを始めよう

ここは前後のつながりが向上して、グッとクオリティが上がりましたね。ナイス・リライトです!


www.youtube.com

次に、教材としてお渡ししている自分のレーベル「 Songs On the Web 」のサード・アルバム『虹』に収録された知里さん(アルバムには『金子知里』名義で参加)のインディーズ時代の人気ナンバー「Scarlet」の替え歌の歌詞のレビューへ。

これは、「原曲のアンサーソング」という設定で書いているため、「一度は別れた恋人たちが2年ぶりに再会して、新しい恋が始まる」という原曲の歌詞の設定を借りられるというメリットもありつつ、完成度の高い原曲の歌詞と張り合うぐらいのクオリティが要求されるところがビギナーの方には高めのハードルなるという側面もあるのです。

ちなみに、原曲の歌詞の2番のサビはこんな感じです。

♪Yes, my love’s shining so scarlet
 互いの小指 ぎゅっと強く結ばれて
 あぁ 愛は燃える紅(あか)
 絆は二度と断てないの
 ついてゆく あなたに ずっと私 今日から

この歌詞のイメージカラーである「真紅」が「小指と小指を結ぶ、運命の赤い糸」と、主人公の2人が再開する「夕陽に染まる海岸通り」にかけてあったりするので、「これと同じレベルで書きなさい」というのはビギナーの方には高すぎるハードルかもしれません。ただ、受講料を頂いて教えている以上、正しい方向に作品を導いていく義務がありますので、そこは手綱を緩めず、リライトを要請しました。

と言うことで、生徒さんは「うまくいったらラッキー!」ぐらいの気軽な気持ちでトライしてくださいね。来春までに完成できれば御の字ですから、腰を落ち着けて取り組みましょう。

次回のレッスンでは、クリスマス・ソングの講評、もし提出があれば、その他のリライト作品のレビューも行なっていきます。

さて、どんなクリスマス・ソングが味わえるのか、胸が高鳴りますね。


Power to The Songs !

歌に力を! 

※「秩父夜祭」にて、生まれて初めて見た真冬の花火の美しさ!
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