爽塾ブログ

みかんのふるさと
 ※原題:Yuuyake

作詞:kotonoha
作曲:田村信二

1A)
 眠い目をこすり 電車に揺られて  
 日比谷のオフィス街 今日も向かう 

1B)
 都会のリズム 慣れてきたけど  
 ふと恋しい 故郷(こきょう)和歌山 
 思い出しほほえむ みかんのふるさと 


2A)
 久しぶりに会う 地元の親友  
 変わらない笑顔で 笑い合って 

2B)
   小さな頃に 駆けて遊んだ  
 みかん畑 今もそのまま 
 心があたたまる みかんのふるさと  


3A) 
 都会に戻って 二度目の休日  
 大きな公園の ベンチにひとり  

3B) 
 綺麗な紅葉(もみじ) 秋風のなか  
 目を閉じれば 心安らぐ 
 この街で明日(あした)も 頑張れそう 
 胸の奥 愛しい みかんのふるさと  

【制作秘話】

オンライン作詞教室「爽塾」の受講生・kotonohaさんが、1年数ヶ月かけて仕上げた作品。東京で雑誌の編集のエディターをしているヒロインの望郷の念がテーマ。
制作がいったん中断するも、企画立案当時は別の場所だったヒロインの故郷を和歌山に変更したことでイメージがぐっと豊かになり、ついにフィニッシュ。仕上げまでのプロセスをリアルタイムで体感してもらうため、集中的にディレクションを密に行った甲斐がありました。
2024年前期の最後のレッスンで本作が完成し、みかん、いや未完(笑)のまま溜まっていた課題制作はすべて終了でき、講師の自分も達成感を味わえました。
2024年前期の最後のレッスンということもあり、完成後に楽しく打ち上げをしたのが良き思い出です。

>kotonohaさん
制作お疲れさまでした!東京の地名、故郷の地名を入れたことで、リアリティが上がりましたね。ターム最後に仕上げた課題で、田村信二さんのシンプルでメロディにふさわしいストーリーが紡げたのは大きなハーヴェスト(収穫)でした!このターム後半で学んだことを糧に、さらなる前進を!

【作詞教室・爽塾】2024年後期、生徒募集のご案内」は、こちら


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見果てぬ夢

※原題:ShinSekaiYori

作詞:kotonoha
作曲:田村信二


1A)
 拍手と歓声 狭いステージの上で 
 魂震わせて 今夜も叫んでる  

1B)
 この決意 笑わずに  
 くれた声援 決して忘れない  

1C)
 遠くに 見果てぬ夢を  
 信じて 挑み続けながら  
 一緒に連れて行くから  
 もっと高い場所へ 必ず 
 

2A)
 ネオンがむなしく光る 眠らない街で 
 もがいて 傷ついて それでも追いかける 

2B)
 現実が 突き刺さる  
 俺の期限は いつまであるのか? 

2C)
 遠くに 見果てぬ夢を  
 信じて 歌い続けるけれど 
 無情に 落ちてく砂を  
 必死にかき集めて 必ず・・・  


3A)
 さびれた店先 酔って潰れてる男  
 未来の俺なのか? 自分に問いかける  
        
3B)
 生ぬるい風が吹く 
 光と闇が うごめくこの街 

3C)
★遠くに 見果てぬ夢を 
 求めて 焦がれ続けるから  
 意地でも ここで終わらない  
 強く掴め 明日(あす)を この手に  
 
 4C)
★Repeat

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講評

本作は、歌詞が仕上がるまでに生徒さんがさまざまな種類のメニューをこなし、教えるこちらも多様なディレクションを施してようやく完成した作品。制作期間はおよそ半年ですから、一言で言えば労作でした。「生徒さんご本人の実像からかなり遠い未知の世界を描いた」という意味では、ささやかな爽塾の歴史の中に残る作品に仕上がったかと思います。昨年の4月から爽塾で作詞の勉強を始めた生徒さんがこれまで書いてきた歌詞のほとんどが大人の女性目線のラヴソングだったことを思えば、この作品で新境地を開拓できたこと、まだ改善の余地こそありますが、「現実が突き刺さる 俺の期限はいつまであるのか?」のように心に刺さるフレーズが書けたのも大きな前進と言えるでしょう。 

この作品が労作たる所以をご説明します。爽塾で行う作詞の通常のプロセスは、課題曲を聴いてどんな歌詞を書くのかを構想する企画会議をレッスンで行なった後、「歌詞を提出→レッスンで講評を受ける→リライトして再提出→レッスンで講評を受ける」ということを繰り返して歌詞を仕上げていくというもの。ただ、この作品は一筋縄ではいきませんでしたね。最初に生徒さんが思いついた構想(歌詞のバックグラウンド・ストーリー)が「メジャーデビューするという夢を捨てきれず、35歳にして上京したシンガーの物語」という内容で生徒さんの実生活から離れた世界観であること、ロックナンバーにふさわしいテーマであるにも関わらず、生徒さんはロックを聴いた経験がほとんどないという理由から、主人公の心情をリアルに感じてもらうため、そして歌詞にリアリティという光を灯すべく、次項に示す通り、ありとあらゆる無理難題(笑)、いやトレーニング・ドリルとも言うべきメニューにトライしてもらいました。

完成まで長い時間がかかりましたが、生徒さんが「自分を励ましながら夢と格闘する不撓不屈のガッツマンを描きたい」と思いついたこと自体がとても尊いなと思います。なぜそんなアイディアが思いついたのかは知る由もありませんが、音楽の神さまがこの作品を書かせるために、インスピレーションを天から降らせたのかも?

レッスンで話した通り、未決に終わった「キャッチーでインパクトのあるタイトルを!」という底上げ可能ポイントには、これから着手する課題の中でも引き続き挑んでくださいね。「途中でくじけることなく、よくがんばりましたね!」と、最後までがんばり抜いた生徒さんを労っておきます。お疲れさまでした!

制作プロセスは・・・

▼スペシャルメニューあれこれ
01:主人公が愛聴している想定で講師の私が作ったロックンロール・ナンバー中心のプレイリストをシェアしてもらい、主人公お気に入りの歌詞のフレーズを想像して抽出。
02:主人公が、1)のプレイリストの楽曲と「見果てぬ夢」を混ぜた6曲でライヴを行うと想定してセットリスト(曲順)を考案。
03:主人公が新宿在住と仮定し、アルバイト先の有楽町のバーまで通勤する途中で目にするであろう都会の光景を主人公の視点でスケッチして提出。

▼最終ディレクションは・・・
以上の課題を終えた後に行なったアドバイイス、ディレクションは以下の通り。
・これまで企画書や課題制作から生まれたフレーズの中で魅力あるものをこちらで指定して、歌詞に生かすようアドバイス。
・「季節感、主人公のキャラや立ち位置」など、重要な前提条件はなるべく歌詞の冒頭でリスナーに提示する必要があるため、以下の要領でリライトを指示。
1) レッスンで書きかけた2番の「ライブハウスでのライブシーン」をまず仕上げて
2) 1番と2番の歌詞を入れ替え
3) 3C(3番のサビ)を仕上げる
4) 現状のタイトルが悪いという訳ではありませんが、よりオリジナリティのあるタイトルがあれば、変更もOKです。


※写真下:本作の主人公にはおなじみかもしれない新宿の街角。講師の吉里颯洋が育った街でもあります。

生徒さんの声も交えながら、2024前期8回目のレッスン・レポートをお届けします。

この日は、湯治のため訪れた秩父のホテルからレッスンを実施。出先からのレッスンは初めてでしたが、オンラインレッスンならではのメリットを感じました。先々、こういうことが増えるかもしれません(笑)。

さて、昨年4月から爽塾で学び始めた受講生の kotonohaさんは、半年のクラスを修了した後も、ずっと継続して受講してくださっています。半年間のタームというのは意外と短く、タームの後半に取り組み始めた課題はそのタームのうちには完成しないのは無理からぬこと。そこで、未完成の課題が溜まっている現状を踏まえ、完成のゴールを切るまでの「最後の一押し」を実地に体験してもらうために、新しい課題制作はいったんストップ。現在は、可能であればレッスンのその場で歌詞を完成させることを目標にレッスンを行っています。

この日のレッスンで修正を行なった課題2つの修正プロセスを、以下にご紹介します。

 

レッスン・ダイジェスト

♪空と風と君のシンフォニー

4度目の提出となった本作は、地方のオーケストラで知り合った音楽家同士のカップルのラヴストーリーながら、恋人の彼に先立たれてしまったヒロインの喪失感と、彼女が緩やかに立ち直っていくプロセスがテーマ。いわゆる単なるハートブレイクを描くトーチソングとは一線を画し、歌詞の一言一句にデリケートさが要求される作品です。

ポップソングの場合、全体の尺が数分程度ですから、最初の1コーラスで歌のシチュエーションとテーマが明確に伝わらなければ、リスナーは聴くのをやめてしまうことがほとんど。つまり、描きたいストーリーの重要なポイントは歌詞の序盤で明快に伝えるのが必須ポイントです。この作品では、「ヒロインは生きているけれど、他界した恋人は天国にいる」ということがプライオリティの高いポイントなので、歌詞の冒頭にある

 ♪語り合った夢を 空の上でまだ君もともに追いかけて

というラインの「空の上で」というフレーズを、以下のようにさらに分かりやすい「天国」というワードに置き換えるリライトを行いました。

 ♪語り合った夢を 天国の君もきっと ともに追いかけて

その他の微調整も加え、歌詞が完成!

♪Starlight melody 〜僕だけの一等星〜

「大自然の中で暮らす沖縄在住の少年が星空の美しさに魅せられ、天文学の世界を志す」という夢のあるストーリー。この作品もまた、主人公の年代性別などを考慮すると、大人の女性の作者からすれば少々遠い世界を描くトライにつき、「主人公の好きな星座を具体的に想定する」という特別メニューの課題をこなしたうえで3度目の提出となりました。

サビの最後の行の重要箇所に選ばれたワードがテーマにそぐわなかったので、レッスンの最中に完成させる試みを行いました。ここでハードルになるのは、英語のフレーズの作り方でした。底上げを行なった箇所、内容は以下の通り。

  ♪あぁ いつの日か 出逢えるよね    

 夏の天の川のような

 僕だけの starlight melody  Dear My Precious Star

 

英語のフレーズ、どう仕上げた?

そもそもですが、英語を使わずに済むのであれば、無理に使う必要はまったくありません。ただ、どうしても英語のフレーズしかメロディにハマらない、その他諸々の事情で英語のフレーズを使いたいのであれば、

・歌詞とメロディがきちんとフィットしていること

・前後のフレーズとの意味的なつながりも含め、文法的にも正しいこと。

 ※スラングを使う場合も、ネイティヴの方に通じるレヴェルでなければ意味がありません。

・ポップミュージックの歌詞のフレーズとして陳腐でないこと

といった条件をクリアする必要があります。要は、間違った文法のでたらめな英語のフレーズをこれみよがしに使っても、メロディが台無しになり、歌詞のクオリティを下げるだけなので、おすすめしません。

今回の修正に当たっては、サビの最後のラインにある絶対外せない「star」というキーワードにプラスする形容詞として「precious(プレシャス:貴重な)」 を選び、さらに適切なワードを加えて、タイトルとなるフレーズを作って仕上げとしました。タイトルとなるフレーズにグレードアップして仕上げとしました。この場合、「precious」というワードを選ぶところまではkotonohaさんが独力でできましたから、自分がサポートしたのは「適切なフレーズ(Dear My )を加えた」プロセスです。「Dear My〜」という言い回しを知らなければ、このフレーズは出てきません。

元々、英語が得意、洋楽も大好きという人なら、これぐらいの英語のフレーズを歌詞に織り込むことは難しくないでしょうから、「英語なんてさっぱりわからない」という方へのワンポイントアドバイスを次項でご紹介します。

 

英語のフレーズ、どうやったら書ける?

「人間は知っている言葉しか使えない」のが大前提ですから、たとえ短くても英語のフレーズの作成にあたっては脳内に「英語のフレーズのストック」が必要です。 ただし、昨今のJPOPのヒットソングで使われる英語のフレーズのクオリティを鑑みても、間違った文法の英語のフレーズは絶対NG。ですので、「まずは英検2級は取りましょう!」というのは冗談で(笑)、いや、それくらの英語力があれば望ましいですが、そうではない方のためのアドバイスは以下の通り。

・長期的なタームでスキルアップを図るなら、「意味を理解したうえで、好きな洋楽アーティストの名曲を歌詞を歌いながら聴く」というドリルにトライしてみてください。「1日1回、同じ曲を1週間続けて」みたいなペースで良いかと思います。口ずさみながら覚えてしまうぐらいになれば、しめたもの。「洋楽になじみがなく、誰を聴いて良いのかわからない」という方にはメロディがポップで覚えやすい、ビートルズやカーペンターズなどがおすすめです。あるいは、JPOPのアーティストに好きな人がいれば、その人のルーツミュージックをたどってみるのも一興でしょう。とにかく、これを繰り返して英語のフレーズのストックを脳内に貯めておけば、いざという時のサポートになります。

・「英語はさっぱりだが、今すぐ、どうしても英語のフレーズを使いたい」という場合は、長いフレーズはあきらめてオンラインの辞書なりを活用して、使えそうな短いフレーズを作ってみましょう。その際、入念にチェックすべきは大切なのは、意味と発音。前後のフレーズとスムーズに意味がつながり、英語として正しいのはもちろん、発音した際にメロディにフィットすることを念頭に置いてください。メロディに乗せた時に元のアクセントとズレてしまうならNG。潔く、別のフレーズを模索しましょう。

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生徒さんのコメントを以下にご紹介します。

こんなプロセスを経て、今回のレッスンでは2つの課題が完成。完成した歌詞は随時公開していくので、お楽しみに。

講師のサポートで課題が完成した場合、「どこをどんなプロセスで仕上げたのか」をよくよく覚えておき、自力で作品を完成させる際にそれを応用することが肝要なので、受講生の方はご留意のほどを。

自分なりに濃厚なレッスンを実施している手応えはありますが、このタームもあと2ヶ月で修了。残った未完の課題をすべて仕上げて、最後にもう1曲、新しい課題曲にトライしたいところですね。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

※秩父のお宿はこんな感じ↓。大好きな美肌温泉に癒された数日間でした!

 

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

レッスンの記録を残すと共に、受講生の皆さんにスキルアップのためのアドバイスを改めて送るための当ブログの記事ですが、面識のない方からもリアクションを頂くことがあり、うれしい限りです。作詞をしている、またはこれから始めてみたいという方に、なにかしらのヒントや刺激になれば幸いです。

カリキュラム変更の意図とは・・・

今教えている生徒さんは「平日コース(月曜日の夜、隔週開催)」の1名のみ。生徒さんが複数いれば、それぞれの生徒さんの成長具合に合わせて、中庸を得たカリキュラムでレッスンを行うことがマストになるのは必定。このタームで3期目に当たる生徒さんは未完の課題をそこそこ抱えているため、4月からスタートしたタームの半分を過ぎたところで、以下のようにカリキュラムの大幅変更を行いました。

旧カリキュラム)

数回の座学の後、「課題曲を聴き、どんな歌詞を書くか企画を練る→その曲に合わせて書いた歌詞を提出、レヴュー(講評)を受ける」レッスンを繰り返し、半年間のうちに4曲分の課題曲に作詞を行う。

※継続受講せず、半年ジャストでレッスンを終える場合は、この内容となります。

新カリキュラム)

座学についてはいつも通り終え、通常のルーティーンの新たな課題曲へのトライも幾度か行いましたが、新たな課題曲へのトライはいったん停止としました。書きかけの歌詞を仕上げるため、「テーマが明快で歌いやすいサビを作る」という目標に添って、できる限り、歌詞の仕上げのプロセスをレッスン内で実体験してもらうことを主眼に置き、レッスンを行うこととしました。新たな課題曲への取り組みについては、未完の課題がすべて完成した後で余裕があればトライすることに。

怒涛のレヴュー5連発の内容公開

以下、今回のレッスンで未完の歌詞に対して行ったレヴューの一覧です。新カリキュラムで展開する「歌詞完成のための集中講義」が生徒さんのスキルアップにつながり、「この先ずっと、作詞を続けていきたい」とモチヴェーションが上がると素敵ですね。

▼「空と風と君のシンフォニー」

2回のリライトを経て、3度目の提出。オーケストラで知り合った音楽家同志のラヴストーリー。恋人に先立たれたヒロインの哀惜の念がメインテーマです。今回リライトされたフレーズで、恋人が他界したことは表現されているのですが、彼との距離感をどんな聴き手にもわからせるには、より直接的な「天国」という表現の方がふさわしいように思います。なるべく、歌詞の冒頭でそれが分かる方がベターだと、該当箇所の見直しをアドバイス。

▼「My starry star」

今回が2度目の提出でした。「天文学者になり、自分だけの星を見つけたい」と夢見る沖縄在住の少年の心情を描く作品。今回のリライトで歌詞に具体的な星座の名称を入れることで、リアリティが向上。サビのラストに1文字字足らずの箇所があるため、まずはそこを底上げしましょう。また、2番をどう展開させるのかをきちんとプランすることで、全体のクオリティが上がります。成長途中の作品なので、タイトルも含め、大幅な変更は大歓迎と伝えました。

▼「愛のふるさと」

2回リライトして、制作ペンディング中の作品。群馬県出身で都内の出版社勤務の女性が、忙しない日常の中でふと望郷の念に駆られるストーリー。生徒さんが爽塾で作詞を学び始めた頃の作品なので、手つかずの状態になってからかなりのブランクが空いています。そうした理由から、スキルアップした今の自分で全編をリライトする方がベターでしょう。フレッシュな気持ちで再トライを。

▼「Yes」

5回のリライトのすえ、6度目の提出でついに完成!恋愛下手な女性が年下の誠実な男性に愛され、プロポーズを受諾するハッピーエンドのラヴソング。表現の選択をあれこれ迷った箇所については、レッスンで検証を行ったうで最終決定しました。完成した作品については、別途掲載いたします。

▼「見果てぬ夢」

メジャーデビューするという夢を捨てきれず、35歳にして上京したシンガーの物語。生徒さんの実生活から離れた世界観であることもあり、以下のようなスペシャルメニューの課題をこなして、ただいま制作はペンディング中。

1)主人公が愛聴している想定で講師の私が作ったロックンロール・ナンバー中心のプレイリストをシェアしてもらい、主人公お気に入りの歌詞のフレーズを想像して抽出。

2)上記プレイリストの楽曲と「見果てぬ夢」を混ぜた6曲でライヴを行うと想定し、セットリストを作成。

3)主人公が新宿在住と仮定し、アルバイト先の有楽町のバーまで通勤する途中で目にするであろう光景を主人公の視点でスケッチして提出。

完成までの施策としては、これまで企画書や課題制作から生まれたフレーズの中で魅力あるものをこちらで指定し、それを有効に使った作詞を提案しました。

 

ということで、いつにも増して濃厚なレッスンでした。

生徒さんに実感してマスターして欲しいのは、「歌詞の仕上げのプロセスで迷った時、困った時にこうやって仕上げればフィニッシュできるのか」という最後のひと押しのあの手この手、あれやこれやです。残りの3ヶ月でぜひ、苦しくも楽しいこのプロセスをマスターして欲しいもの。

次回の課題提出が楽しみです!

 

Power to The Songs!


歌に力を!

 

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かつて、辻仁成さんが主宰していた「人間塾」に参加するため、四季折々に幾度か通った京都芸術大学。どっぷり味わったことはないのに、祇園祭の季節になると、この辺りが恋しくなります。訳あって、このエリアをとても愛していますので、年内に再訪できれば。

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

意図していた訳ではないのですが、2024前期4回目のレッスンは、「替え歌制作」というカリキュラムの一環で生徒さんが途中まで書いていた歌詞を講師の私が仕上げるという爽塾のささやかな歴史では初めての「コラボ作詞」的な内容になりましたので、その作品をご紹介します。

現在、継続受講中の生徒さんが書きかけていたこの作品をこのタイミングで完成させたのは、カリキュラムのスケジュール上、次回のリライトに着手するタイミングまで時間が空いてしまうため、プロデューサー視点で底上げすべき箇所をリライトして、いったん完成させたというのがその経緯でした。

 

「替え歌制作」の意図、効用とは・・・

半年間に12回のレッスンを行う爽塾のカリキュラムでは、作詞に関する座学を数回行った後でいきなり曲先作詞に取り掛かるのではなく、その前段階として、「替え歌制作」の課題に取り組みます。このカリキュラム実施のメリットは、歌詞のついていないインストゥルメンタルの課題曲のメロディを聴き取る手間が省けること。もちろん、替え歌と言えども、「どんな歌詞を書くか」という企画のプロセスはありますが、「メロディを幾度も聴いてその骨格を把握して・・・」という曲先作詞の最初のプロセスをはしょれるのは作詞ビキナーの方にはメリットです。聴き慣れた曲であればなおのこと、歌詞のテーマさえ決まれば、すぐに作詞に着手できるので、「とりあえず、曲先作詞をやってみたいけど、どこから始めたら良いか分からない」という方には、「替え歌制作」はおすすめの作詞ドリルと言えるでしょう。

 

女性の燃える恋心に応える男性心理は・・・

替え歌制作の課題曲は、教材に使っている自分のレーベルのアルバム『虹』の収録曲から選んでいるのですが、今回は「2年ぶりの再会を機に、かつてのラブストーリーが再び始まる」という女性目線の「Scarlet」の歌詞を相手の男性の視点で書くアンサーソングを書くという試み。「真っ赤に染まる夕景のシーサイドで、運命の赤い糸に導かれるように恋がリスタートするヒロインの恋心」と対をなすように、生徒さんが9割がた仕上げていた歌詞に加えたのは「今度こそ、空より高い、海より深い紺碧の愛で君を愛する、守っていく」という男性の強い気持ちです。「Scarlet」同様、タイトルが示すテーマカラーが聴き手のイメージを刺激するよう、青に絡めて描きました。ちなみに、タイトルの「TRUE BLUE」には、文字通りの「真に青く」という意味以外に「真に忠実な、信頼できる。 語源は、宗教改革時代 、スコットランドのカルヴァン派(Presbyterian)が青をシンボルカラーにしたことから」という意味もあり、これはまさに「一度別れた後で再びめぐり逢えた彼女を強い気持ちで守ってゆく」という彼の強い気持ちに呼応したダブルミーニングとなっています。

※「Scarlet」は、講師の吉里颯洋が主宰するレーベル「 Songs On the Web 」から2009年にリリースしたアルバム『虹 / The Best of Songs On the Web Vol. 3」の収録曲。
日本クラウン所属のシンガー・知里さんがメジャーデビュー前に本名の金子知里として歌ってくれたバラードで、メジャーデビュー後もコンサートで歌われるなど、ファンの方からの人気も高い楽曲です。

※以下、赤字の箇所が私がリライトした歌詞です。

TRUE BLUE

※原題:Scarlet

作詞:kotonoha                                     

作曲:高橋浩平

 

1A)

 11月の海辺のカフェで  

 2年ぶり聴く声 心震えてる  

 「逢いたかった」と ささやく声に  

 あふれ出す愛しさは 胸のトパーズ  

 

1B)

 海の向こうでずっと 君を感じてた  

 

1C)

 Yes, my love’s shining so true blue  

 繋いだ手と手 そっと 二度と離さない  

 あぁ 愛は澄んだ青  

 紺碧(こんぺき)の空より高く・・・  

 羽ばたこう明日(あす)へと 風に乗って まっすぐ  

 

 

2A')

 「新しい恋 始めないか?」と 

 問いかけて込み上げる 深い想いが  

 

2B)

 清らかなまなざしを この手で守りたい  

 

2C)

 Yes, my love’s shining so true blue  

 やっと気づい 帰る場所はだけと  

 あぁ 愛は澄んだ青  

 紺碧(こんぺき)の海より深く・・・  

 信じてた 僕らの絆はまだ続くと  

 

2C')

 見つめた瞳 そらさずに  

 幸せな未来を 引き寄せよう必ず  

 ふたりきり今夜は 熱いキスでお祝いしよう 

 

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初稿の段階でこれぐらいのレベルの歌詞が書ければ、プロに近いレベルですね。

さて、次回のレッスンでは、新しい課題曲を聴いて、どんな歌詞を書くのかをプランする企画会議を行います。

受講生の方は未完成の歌詞はどんどんリライトを進めて、提出してくださいね。力作が届くのを待っています。

 

Power to The Songs!

歌に力を!

 


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知里さん、新曲『シークレットラブ / 夢陽炎』リリースおめでとうございます!

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2024前期3回目のレッスン・レポートをお届けします。

1限目の内容は・・・

「作詞の実際」と題して、座学の2回目の講義でした。

主な内容は以下の通りです(一部抜粋)。

0)タイトルの重要性
1)サビの歌詞の作り方
 ・サビの条件とは?
 ・作り方のポイント 

この項は、このターム初回のレッスンでのコンサル時に、今後の半年で生徒さんに克服してもらいたいテーマとして掲げた内容とズバリ一致するので、いつにも増して力を入れてお話しました。端的に言えば、「曲のテーマが効果的に集約され、覚えやすく、口ずさみやすい」のがサビの歌詞の条件になりますが、これをいかにして作るか?となると、一筋縄ではいきません。生徒さんの好きなアーティストの作品を実例としてピックアップしてレクチャーしたので、「なるほど!」と思ってもらえたら良いのですが。ただ、作詞におけるサビの作り方は最重要項目の1つとも言えますから、生徒さんにはテキスト改訂で加筆された箇所を課題の提出時には読み返していただき、このハードルをクリアして欲しいと思います。その後は、歌詞の他のパーツの作成についてのお話。

2)Aメロの歌詞の作り方
3)Bメロの歌詞の作り方
4)その他のパートについて
5)2番以降への展開について
6)グレードアップのための工夫あれこれ
 「英語のフレーズを効果的に使う」という項目では、先々、英語のフレーズも必要に応じて使えるように、こんなアドバイスもしました。

「そもそも、英語のフレーズなんて思いつきもしない」というレベルなら、まずは、日常的に洋楽を聴きながら英語のフレーズになじんでいくところから始めるのがおすすめです。さらに言うと、聴いてるだけでは身につかないので、歌詞を見ながら歌うのが手っ取り早いですね。自分もBruce Springsteenの名盤の数々を聴きながら歌い、歌いながら聴くことを繰り返した時代がありました。

ちなみに、「サビの歌詞の作り方」でふれた「『数回あるサビの歌詞がすべて同じ』という名曲は存在します」というお話ですが、私が思い浮かべたのはこの曲。レッスンの最中にはお話しませんでしたが、ネタバレ、種明かしですね(笑)。ブルース・スプリングスティーンの「Hungry Heart」と言えば、スタジアムでのライヴなら5万人のオーディエンスの大合唱となる超名曲。幾度もリピートされるサビの歌詞は、誰もが歌いたくなる、叫びたくなるのにふさわしい普遍性のあるメッセージが込められています。


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2限目の内容は・・・

 まずレヴューしたのは、4度目の提出となる女性目線のラヴソング。このターム初回のレッスンで生徒さんに提示した「歌いやすく、覚えやすく、テーマを凝縮した強力なサビを作る」という今期のテーマに従って、だいぶ育ってきた歌詞をチェック、こんなコメントを伝えました。
 ・1番のサビについては、彼の人物像、設定を掘り下げたことで、素晴らしい完成度になりました!
 ・3番についても、概ね良い感じにまとまっています。
 ・2番のサビは、レッスンでお話しした通り、彼女のセリフでなくても良く、「うれしすぎて言葉が出ない様子」を描写しても良いかもしれません。
  ※曲先作詞で大切なのは、「メロディを尊重し、メロディに寄り添うこと」であって、「何が何でも企画書の内容をメロディに乗せること」ではないのです。企画書にまとめた内容からサビのフレーズが紡ぎ出せない場合は、改めてメロディと対話しながら、ベストな表現を模索しましょう。

続いてレヴューしたのは、さまざまな内容のスペシャルメニューを消化した後で制作を再開した「35歳にしてなお、東京でメジャーデビューの夢を追う男の歌」。生徒さんの実像やこれまでの作品からするとかなり遠い世界のお話でしたが、まずは、歌詞の世界観をリスナーにプレゼンする役割を担う冒頭の2行が形になったので、それについて言及。お伝えしたのは、こんなメッセージでした。
「導入にあたる1Aの2行が書けて、未知の世界への最初の1歩が踏み出せましたね!企画書のマーカーの箇所をトリガーとして、Bメロとサビのベストなフレーズを模索していきましょう!」

続いて、テキストには未掲載の㊙️ネタとして、自分から見て距離があるキャラクターを描く時のコツなども伝授。受講生の方は、いずれかの機会にお役立てくださいね。

さて、次回は幾度かトライしながら、まだ完成に至っていない「替え歌制作」のレヴューを行います。半年前に挑んだ際よりもスキルアップしている生徒さんが見せてくれるはずの成長ぶりに期待したいところです。

Power to The Songs!

歌に力を!


※写真下)店名を失念しましたが、大好きな京都でいただいた好物のおはぎ。見たこともない色味の真ん中のおはぎを見て、ハッとしました。マンネリに陥ることを良しとしない創意工夫の素晴らしさを感じました。ジャンルは違えど、大いに見習いたいところです。

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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2024前期2回目のレッスン・レポートをお届けします。

1限目の内容は・・・

このターム2回目のレッスンは、作詞に関する座学の初回。
「作詞法(1) 〜作詞概論、企画・着想〜」というテーマで、レクチャーを行いました。主な項目は以下のような内容でした(一部抜粋)。

▼歌づくりのその前に 〜作詞概論〜
 1)名曲の条件とは? 〜ビギナーでもココをめざそう!〜
 2)ポエムと歌詞の違い
 3)詞先作詞と曲先作詞の違い
 4)曲先作詞のプロセス

▼着想から企画へ
 1)なぜ、このプロセスが大切なのか?
 2)このプロセスを重要視する意味とは?

受講されている生徒さんには通算で3度目になる講義ですが、これまで取り組んできた創作活動と照らし合わせて、少しでも新鮮に感じられるところ、発見があれば幸いです。

2限目の内容は・・・

短い休憩をはさんで、2限目のレッスンでは制作途中の課題のレビュー(講評)を実施。2回のリライトを経て、「年下の素敵な男性からプロポーズされるヒロインの心情を歌ったラヴソング」は、完成度70%ぐらいに成長。最近は、「3度目の提出でクオリティがグンとアップする」ことが続いているので、次回からは初稿からこのレベルを期待したいところです。そう願いつつ、こんなコメントをお伝えしました。

【講評】
・2度のリライトを経て、ぐっとクオリティが上がりました!完成まであと少しです!
・1番のサビで彼のプロポーズを、2番で彼女からの返事を、3番で2人の気持ちを歌うというアイディアは秀逸です。ぜひ完成させて、代表作にしましょう。

結婚を諦めていた女性に理想の恋が舞い降りるプロポーズ・ソングは需要がありそう。

レッスン後、生徒さんとこんなやりとりがありました。

試行錯誤の一環ですが、実は、以前とは課題曲の選び方を変えるようになっていて。「タームの始まり前に4曲を選んでおく」スタイルから、「生徒さんの成長具合に合わせて、その都度、選曲を行う」ようにしています。

さて、プロポーズ・ソングは、いつ、どんな形で完成するのか、今回提出がなかった「メジャーデビューを諦めない男のストーリー」は、有楽町の朝もやの中からついにその姿を表すのか(笑)、次回のレッスンが楽しみです。

Power to The Songs!

歌に力を!

※写真下:レッスンの前日(4/21)、NHKホールにて、ストリート・スライダーズのライヴを体験。日本語で歌われる骨太なロックンロールは今の音楽シーンでは超貴重な存在。作詞家を志す方は、「いつか自分の作品が大きなホールで歌われる!」とイメージすると良いですよ!f:id:sowyoshizato:20240508071313j:image

 

 

 

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2024前期初回のレッスン・レポートをお届けします。

1限目の内容は・・・

個人で主宰するささやかな当塾ですが、熱心に受講してくださる生徒さんに恵まれ、無事に新学期が迎えられました。現在受講中の生徒さんが爽塾で学び始めたのは1年前なので、半年間のタームのレッスンを2期終えて、この春からのタームが3期目になります。爽塾の半年間のカリキュラムは、最初の数回は座学で作詞のハウトゥーを学び、4回目で替え歌制作の課題をレヴュー(講評)を行い、以降は「課題曲を聴いてどんな歌詞を書くのかを決める企画立案」→「書いた歌詞のレヴュー」を繰り返しつつ、半年間に4曲の課題曲と向き合う実践を重ねるという内容。テキストはタームごとに若干の改訂を行いますが、ベーシックに当たる部分は同じです。ですので、生徒さんには座学のたびに同じお話を聴いてもらうことになります。実践経験を積んでいる分、講義の内容は同じだとしても「あ、なるほど!」と気づきが増えていくことを祈りつつ、今回もまた、テキストの前書きの部分を読み上げました。

大人のための作詞教室『爽塾』へようこそ!
ご縁あって、これからの半年間、作詞という歌づくりの大切なスキルと向き合いながら、皆さんと歌づくりのセッションができることを心からうれしく、誇らしく思います。爽塾で学ぶのは、実際の音楽制作の現場でニーズがある「曲先(きょくせん)作詞」です。なぜ、「曲先作詞」のみに注力するのかは後述しますが、これはやればやるほど奥深く、そして楽しいものです。
さて、なぜ、私が爽塾の活動を始めたのか? その経緯を少しお話ししてみたいと思います。皆さんに教材としてお渡しした主宰レーベルのCD制作を通じてアマチュア作詞家の方をディレクションする機会が度々あり、実際に仕上がった作品が着うたサイトなどでヒットするうち、「自分自身は発展途上とは言え、これまで身につけた作詞のスキルは、それを必要としているアマチュアの方には十分に価値があるのでは?」と思ったことが、爽塾スタートのきっかけです。
そして、こうも思ったのです。「どうせなら、かつて私自身が専門学校で2年かけて学んだことを半年で伝えよう。自分がアマチュアだった頃に受けたかったカリキュラムを実現しよう」と。

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と前置きしたのち、今回のメインテーマである「コンサルティング」を行いました。作詞をやり慣れている生徒さんなら、「課題曲4曲のうち、最低3曲分は完成させましょう!」といった感じでシンプルに終わるのですが、2回にわたって継続受講をしてくださった生徒さんには今よりもさらに大きく歌づくりの才能を開花させて欲しいので、「テーマをギュッと凝縮した、歌いやすくて覚えやすいサビを作る」という明快な目標を設定しました。歌詞の背景にあたるストーリー、登場人物の人物設計を構築することにかけてはすばらしい成長を見せてくれている生徒さんなので、より深く作詞の核心部分へと踏み込んで、「歌詞を仕上げる、歌を作るってこういうことなのか」という手応えを感じてもらえればと考えています。と、簡単に書きますが、それ相応のハーヴェストを得てもらうには講師の自分が鋭意努力せねばなりません。

2限目の内容は・・・

前のタームから続いている未完成作品のレヴューを実施しました。

まずは「年下の素敵な男性からプロポーズされるヒロインの心情を歌ったラヴソング」では、Aメロ、Bメロで描くべきストーリーに関する描写がサビの歌詞にまではみ出しているような印象でしたので、「サビの歌詞とはどうあるべきか?」というお話を実例を示してじっくりとお伝えしました。

そして、爽塾始まって以来の「スペシャルメニュー(前回のレッスンの記事参照)」を実施して取り組んでいる「35歳にしてメジャーデビューを目指すロックシンガーの物語」については、主人公が都内新宿区に住んでいると仮定して職場がある千代田区有楽町近辺まで行き来する間に目にするであろう東京の風景をあれこれピックアップしてもらいました。生徒さんの実像からは少々距離がある、歌詞の主人公がリアルに感じられたところで、いよいよ作詞にリトライしてもらうことになります。

1回で仕上がらずとも一向に構わないので、「見知らぬ海外に旅に出てみよう」というぐらいの気軽さで、異性の気持ちで異世界を描ける作詞の楽しさを味わってもらえればと思います。完成の暁には、これまでとは一味違う達成感が味わえるはずです。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

※写真下:所沢市内某所の夜桜。ギリギリセーフのタイミングで見られました。

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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期12回目、このターム最後のレッスン・レポートをお届けします。

 

1限目の内容は・・・

「課題曲の歌詞の企画をレッスンで固めて」→「歌詞と企画書を提出」→「次回のレッスンで講評を行う」という通常のプロセスとは異なる、スペシャルメニューの課題制作を行なっている某作品の課題を講評しました。 生徒さんが企画した「30代半ばにして『シンガーとしてメジャーデビューしたい』という夢を抱え上京した」という歌詞のストーリーは秀逸ながら、歌詞の世界観や(おそらくロック好きだと推測される)主人公の心情などが生徒さんご本人からかなり距離感があるため、以下のようなスペシャルメニューを組んでみた次第です。

1)歌詞の主人公のリアルな心情を味わってみる

まず、野心家である歌詞の主人公のリアルな心情に寄り添い、共感することを目標に、『夢を追う主人公が自分を励ましつつ愛聴するロックンロール集』というコンセプトで10曲入りのプレイリストを講師の私が作成。生徒さんにはそれを聴いてもらい、「主人公がそれぞれの曲のどこに共感しているのか、彼のお気に入りのフレーズを抜き書きする」という課題に取り組んでもらいました。これについては、前回のレッスンで講評しました。

2)歌詞の主人公になりきり、彼が主催するライヴを企画する

今回取り組んでもらった課題は、「主人公になりきってプレイリストの中から選んだ5曲と、主人公のオリジナル曲という想定でこれから作詞する課題曲をミックスして、合計6曲からなる架空のライヴのセットリストを作成せよ」というもの。「あり得ないほど、ロックンロールな課題で素晴らしい!」と自画自賛しそうになりましたが(笑)、生徒さんが考案したセットリストは、こんな感じでした。

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■ライブタイトル :見果てぬ夢 〜俺達の戦い〜

●セットリスト
01 : 勝利への道 / 浜田省吾さん
02 : 終わりなき疾走 / 浜田省吾さん
03 : Someday / 佐野元春さん
04 : 年甲斐ない 関係ない 限界なんてない / 矢沢永吉さん
05 : 黒く塗りつぶせ / 矢沢永吉さん
06 : 見果てぬ夢 / アーティスト名(生徒さんが歌詞を構想中の楽曲)

※︎ライブのタイトルは「俺達の明日(あした)」または「見果てぬ夢」と迷いましたが、最後に自身の曲を歌って揺るがない決意と想いを観客に伝え、「一緒に夢に向かって頑張っていこう!必ず夢を掴もう!」という強いメッセージで締めくくりたいと思い、ライブのタイトルも曲名と同じものにしました。

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自分の講評は「素晴らしいシークエンス(曲順)で文句のつけようがありません! ゴールまでまだ距離がありますが、完成させられると新しいドアが開くはずです」というもの。そして、このスペシャルメニューの最後に出した課題は、以下のような内容。

3)主人公の視点で東京の街をスケッチ(描写)してみる

彼が暮らすエリア(都内新宿区近辺を想定)から働いているバー(都内千代田区有楽町近辺を想定)にかけての行動範囲で目にする街の風景などをピックアップして企画書に追記せよ。

これについては、次回のレッスンで講評を行います。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、歌詞のレヴュー(講評)を行いました。

前回のレッスンで企画会議を行い、「プロポーズされた36歳の独身女性が、結婚を決意する心境を描きたい」というコンセプトを固めたバラードの歌詞の初稿は、残念ながら未完成。そこで、生徒さんがまとめた企画書の中から、この作品ならではの秀逸なフレーズ、表現をピックアップして、実際の歌詞に活かすようアドバイス。自分がまとめた歌詞の企画、ストーリーを客観的に見直すのは難しいかもしれませんが、企画書の中から「自分ならではのフレーズ、このストーリーならではの独自ポイントを見つけ出して、歌詞に盛り込む」ことが大切。今回で言えば、自分が企画書にマーカーをつけた箇所が該当箇所なので、次回からはそれを自分で見つけ出すようにしましょう!ここは重要なので、生徒さんはメモしてください(笑)。

お楽しみの打ち上げは・・・

そして、本日のメイン・イヴェントは、各タームの最終回のレッスン後にしか実施しない「打ち上げ」。対面のレッスンならばお洒落なカフェにでも移動して楽しく歓談するところですが、オンラインレッスンのため、パソコンの前にお茶菓子を用意して生徒さんとお話ししました。レッスンではなかなかお話しできないことや、生徒さんが田村信二さんと面会できた時のエピソード、音楽業界のあれこれとか、無礼講なお話も少々。短い時間でしたが、貴重なひとときでした!

以下、生徒さんのコメントをご紹介します。

このタームの半年間はもちろんですが、爽塾史上初めて半年以上の継続受講をしてくださった生徒さんの作詞を学び始めてから1年間の真摯な取り組みに、この場を借りて感謝します。4月からの半年でさらなるスキルアップをしながら、未完成の歌詞をベストな形で完成させていきましょう!

 

Power to The Songs!

歌に力を!

 

※以下、3月下旬に映画館で鑑賞した映画の数々、いや一部抜粋です(笑)。クリエイティヴワークにはインプットは欠かせませんが、自分の場合、五感でストーリーを体感できる劇場での映画鑑賞が週末のルーティーンになっています。


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私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期11回目のレッスン・レポートをお届けします。

終了まで、残りのレッスンはあと2回! 生徒さんには今回のレッスンでお披露目する課題曲もこのタームではラストの4曲目となり、いよいよ「卒業制作」ということに。

1限目の内容は・・・

本日のメインテーマ、新しい課題曲の歌詞の内容を決めていく「企画会議」に、じっくり取り組みました。新しい課題曲は、憂いをびつつもスケールの大きなバラード。映画の主題歌にもなりそうな素敵なメロディを聴くにつけ、作曲者の田村信二さんのメロディメーカーとしての才能に敬服するばかりです。

そんな曲に対して、生徒さんは「プロポーズされた36歳の独身女性が、結婚を決意する心境を描きたい」とのこと。仕事に打ち込んできた女性が年下の男性と出会い、恋に落ちて、諦めていた結婚という夢を叶える。そんなストーリーの歌が共感を呼ぶには?と考えると、いつにも増して表現のリアリティを追求したいところ。歌詞の背景にあたるストーリーを紡ぐのは得意な生徒さんなので、彼と彼女のやりとりなども歌詞に適宜盛り込みつつ、いつも以上にイキイキした物語を紡ぐようアドバイス。歌詞の仕上がりが楽しみです。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、過去作のレヴュー(講評)へ。

初稿では「Melody」というタイトルで、「恋人を亡くしたシンガーソングライターの女性が再起していく」というテーマでしたが、私のアドバイスもあり、「地方のオーケストラで恋人と知り合った女性が同じオーケストラで知り合った恋人に先立たれながらも、悲しみから立ち直り、明日を模索していく」ようなストーリーに改変。タイトルもシチュエーションの変更を反映して「空と風と君のシンフォニー」と変更されました。

この生徒さんの最近の傾向として、2度目の提出で歌詞のクオリティがグッと上がるのですが、今回もまたそうなったのは良かったと思います。今回から、リライト時の工夫や苦労した点などをメモとして歌詞のファイルに添えてもらったのも、進捗管理の意味で収穫がありました。講評の内容を一部抜粋してご紹介します。

【講評】

・クリスマスソング同様、2度目の提出でクオリティがグンと上がったのは素晴らしいの一言です。50点ぐらいの内容が70点ぐらいにグレードアップした感じでしょうか。

・タイトルの変更と修正後のサビについては、格段に良くなりました。

・元のテーマに添って底上げをするなら、「かつての恋人が天国にいる」ということが明快に分かるような表現がある方が悲しみの淵から主人公が立ち直りつつあるというストーリーの骨子が伝わります。そうしたフレーズをなるべく冒頭に組み込み、それに対するヒロインの心情がさらに真に迫った描写で描けるか、トライしてみましょう。

そして、もう1作レヴューしたのは、生徒さんにとってはおそらく別世界を描くことになる「見果てぬ夢(仮題)」。もっともこちらは、作詞そのものには着手していません。生徒さんが企画した歌詞のストーリーは、「プロのシンガーになる、メジャーデビューする夢を諦めきれずに上京した主人公が東京で再び夢を追う」というもの。歌詞の世界観が生徒さんの実像からかなり遠く、いつも通りのメソッドで歌詞が仕上がらないと判断したため、彼の心情をリアルに感じてもらうため、「主人公が自分を励ますために愛聴しているであろうロックナンバーを集めたプレイリスト」を私が作成してシェアしていました。いきなり作詞に取り掛かるより、まずは主人公の気持ちを理解するのが先決という判断で、いつもの「歌詞の企画立案→作詞」というルーティーンを「歌詞の企画立案→取材的なプロセス→作詞」というスタイルに変更したのです。爽塾のささやかな歴史を振り返ってみても、これは初めてのトライ。裏話をすると、生徒さんがこのターム以降の継続受講をする可能性を見越しての施策でした。「1つの歌詞を仕上げるのに数ヶ月かかろうと、良作が書ければOK」というスタンスです。

そのプレイリストで主人公の気持ちを存分に味わってもらい、今回出した課題は、「それぞれの曲の歌詞の中で主人公が共感している、お気に入りのフレーズを抜き書きしてください」というもの。結果は最初からほぼ分かっていて、全問正解。生徒さんの心の中にいる主人公がどんな気持ちでお気に入りのロックンロールを聴いているのか? 歌詞のどのフレーズに共感しながら、時にくじけそうになる自分の心を励ましているのか? それは、作者たる生徒さんが「きっとこうだろう」と思ったことが正解なのです。以下、生徒さんのコメントです。

次のステップとして、「プレイリストの5曲と課題曲1曲、合計6曲の構成で、主人公が企画&開催する架空のライヴのセットリストを作成せよ」という、かなりロックンロールな課題を出しました(笑)。海外旅行で見知らぬ土地を訪ねて、ガイドブックにはない魅力に遭遇するかのように、今回のスペシャル・メニューを通じて、生徒さんが「ロックンロール」という未知なるドアを開けてくれたら、かつての自分からは想像もつかない歌詞が生まれるはず。こうして歌詞の完成に向けてさまざまな試行錯誤を重ねていますが、課題曲自体は譜割が時に難しい激しいロックナンバーではないので、主人公の心情に寄り添えれば必ず完成させられるはずと信じています。

そんなこんなで、今宵のレッスンも無事に終了。

このターム最後のレッスンとなる次回は、レッスン後に打ち上げをする予定なので、それも楽しみです。

Power to The Songs!

歌に力を!

 

※ロックンロールの歌詞に時に欠かせないのが、リアルなストリート感覚。東京がもし夢を追うためのリングなら、彼の目に写るものは何なのか、気になりますね。写真は、都心ではなく、西武所沢駅側のプロぺ通り。

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